ほくとの山歩き
権現岳(ごんげんだけ)ー八ヶ岳信仰の中心
権現岳(ごんげんだけ)は八ヶ岳連峰の南部に位置し、八ヶ岳中信高原国定公園に属する山。赤岳や編笠山と並ぶ南八ヶ岳を代表する山です。標高は2,715m。八ヶ岳最高峰の赤岳の南側に位置します。赤岳との間はキレットとなっており、一気に落ち込んでいます。
山体は東西にピークを持つ双耳峰(そうじほう)で東峰(2,715m)が権現岳、西峰(2,700m)が擬宝珠(ギボシ)と呼ばれています。
権現岳頂上(東峰2,715m)と富士山(左奥)
権現岳はその名前の通り、古くから信仰の対象となってきました。山頂の南側すぐ下には石の祠があり、檜峰神社や八ヶ岳権現と呼ばれています。日本史を紐解くと平安時代に編纂された『日本三代実録』に貞観(じようがん)10年(868年)9月17日、甲斐檜峰の神は従五位下を授かったという記述があります。その頃から権現岳は霊山として崇められていたと考えられています。中世には、修験道の霊場となっており、登山道沿いにはその歴史を感じさせる石碑や石祠がいくつも確認でき、岩峰のてっぺんには鉄の鉾(ほこ)が立てられています。
権現岳頂上と鉄の鉾
北杜市からの登山コースは主に、観音平ルート(観音平から編笠山経由で権現岳山頂に至るコース)と三ツ頭ルート(天女山から三ツ頭経由で権現岳山頂に至るコース)があげられます。どちらも6時間以内で登れるコースになっています。
権現岳と青年小屋(5月下旬撮影)
観音平ルートは、編笠山山頂を経由して青年小屋に下るルートと、編笠山に登らず巻道を使って青年小屋にいたるルートの2つがあります。青年小屋からは立ち枯れ帯を越え、樹林帯に入ると傾斜が増し、一気に高度が上がり、ノロシ場に至ると視界が開けます。そして徐々に鎖場も増えてきます。ギボシの東斜面のトラバースは谷側に傾斜しており、注意が必要です。稜線に出ると難易度は落ち、権現岳山頂まで続きます。
ノロシ場付近から見上げたギボシの山容
ギボシの東斜面から見る権現小屋と権現岳(5月下旬撮影)
三ツ頭ルートは天女山駐車場からはじまります。15分ほど登ると「天の河原」という眺望が良い場所に至ります。その後正面に三ツ頭を見ながら、砂礫地を登り続けると補助用ロープを使うような場面も出てきます。そのまま稜線上の岩礫地や樹林帯を抜け三ツ頭山頂に。三ツ頭山頂からは一旦稜線上のハイマツ帯を下り針葉樹帯を経て登り返し、ザレた登山道を進むと権現岳直下の急登となります。頂上までに1箇所鎖場がありますが、難易度は高くありません。
権現岳の登山は中級クラスで鎖場もあります。1泊以上が適当ですが、山慣れした上級者であれば日帰りもでき、高山の魅力がたっぷり詰まった山になります。見どころは権現岳山頂から見る天狗尾根の岩峰を従えた隣の赤岳。また三ツ頭から見る権現岳(このページ最上部の写真)は、岩山の荒々しさが望めて素晴らしいです。是非その魅力を味わってください。
地図
[登山ルート]
天女山駐車場――(15分)――天ノ河原――(3時間)――前三ッ頭――(50分)――三ッ頭――(1時間)――権現岳山頂
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